ディフィカルティボム
ディフィカルティボム(難易度爆弾)とは、
イーサリアムのコードに組み込まれた仕組みです。時間の経過とともにマイニング難易度を段階的に引き上げ、マイナーによる新しい
ブロックの生成を次第に難しくしました。
イーサリアムでのトランザクションの検証は、稼働当初、マイナーが暗号パズルを解くことで行われていました。あらかじめ組み込まれた「アイスエイジ」により、ブロック生成にかかる時間は徐々に延び、
マイニングの採算性も次第に低下しました。ディフィカルティボムは、こうした仕組みによって、ネットワークを
プルーフ・オブ・ワークから、よりエネルギー効率の高い
プルーフ・オブ・ステークへ移行させるために導入されました。
ディフィカルティボムは、2015年にブロック200,000で発動しました。以降は、あらかじめ定められた
ブロック高に達するたびに、イーサリアムのマイニング難易度が指数関数的に上昇していきました。この難易度上昇が進むにつれてブロック生成にかかる時間は約13秒から20秒以上へと延び、トランザクションの処理速度が落ちるとともに、マイニングの採算性を次第に低下させていきました。
プルーフ・オブ・ステークへの移行準備が整う前に「アイスエイジ」がネットワークに支障をきたすことを防ぐため、開発者は
ハードフォークにより延期を繰り返しました。この延期は、2017年のByzantiumアップグレードを皮切りに、2019年のConstantinople、2020年のMuir Glacier、2021年の
London、そして2021年から2022年にかけての
Arrow GlacierおよびGray Glacierの各アップグレードなど、複数の段階にわたって実施されました。延期のたびにディフィカルティボムの発動時期が先送りされ、開発者はプルーフ・オブ・ステーク(PoS)の仕組みを完成させるための時間を確保できました。
ディフィカルティボムには、主に2つの役割がありました。第一に、プルーフ・オブ・ステークへの移行を完了させる期限を開発者に課し、ネットワークが停滞するのを防ぎました。この圧力がなければ、アップグレードの実現に向けた緊急性は低かったかもしれません。第二に、移行後もマイナーが旧来のプルーフ・オブ・ワークチェーンで採掘を続けることを抑止しました。これにより、イーサリアムのブロックチェーンが2つの競合するチェーンへ分裂しかねない、対立を招くハードフォークが起こる可能性を抑えました。
イーサリアムは2022年9月15日、The Mergeと呼ばれるアップグレードを通じてプルーフ・オブ・ステークへの移行を完了しました。現在、ネットワークはマイニングに依存せず、ディフィカルティボムはすでにその役割を終え、イーサリアムの歴史の一部になっています。